リングでは包丁に身を投げ、家では愛娘に身を捧ぐ。狂ったデスマッチファイター・竹田誠志の純な生き様
■リングでは包丁に身を投げ、家では愛娘に身を捧ぐ
竹田誠志と言えば、試合中ニヤリと笑みを浮かべながらハサミを取り出し、相手の頭へ突き刺す。包丁を敷き詰めたボードに自ら飛び込む姿を見せることもある。竹田の“受けっぷり”は、彼が持つ狂気性の一つと言われており、世界中のデスマッチフリークを熱狂させている。
そんな竹田にはもう一つの顔がある。それは一人娘を持つ父親としての姿だ。2022年に妻が急病で他界。愛妻家であった竹田は、半年間活動を休止した。
《まだまだ現実を受け止められません。小さい子供も居ますので心と生活が戻るまで当分の間活動を休止させて頂きます》
そう自身のSNSに投稿し、「自分にできることは何か、娘のためにどう生きるべきか」を考えに考えた。そこで出た答えは「俺にあるのはプロレス、そしてデスマッチだ」である。
現在は愛娘とふたり暮らし。家事全般は竹田が一手に引き受けている。
「朝起きて娘を保育園に送ってからトレーニング。それから洗濯、掃除、買い物をして保育園に迎えに行く。家に帰ったら晩ごはんを作ってっていうのが、試合がない時の主なスケジュールです。試合があるときは実家が近くですし、従兄弟も近所なので娘を預けて会場へ向かいます」
竹田はフリーランスのプロレスラーだ。試合がない夜はスポンサーとの付き合いもある。そこに娘を連れて行くこともあるという。
「普通の家庭とは違う日常だと思います。去年アメリカへ遠征したときも、まだ(自分と離れての)お泊りが難しいので連れていきました。でも、子どもに言うことは皆さんと変わりませんよ。『挨拶と礼儀はきちんとしなさい』と『人を殴っちゃダメだよ』はいつも言っています。僕がリングで人を殴るところを見ているからこそ、きちんと言い聞かせています」
愛娘について、かつて試合後にこうも語っていた。
「娘を立派に育てるのがオレの義務。血を流してね。もし体が動かなくなって、デスマッチができなくなっても、なんとかして立派な大人に育てないと」
父子家庭のデスマッチファイター。親子二人三脚はまだ始まったばかりだ。